初めて沖縄を旅する人にとって、沖縄とはどんなイメージでしょう。
「どこまでも遠く澄んだ青い海」「ジンベイザメのいる水族館」「赤瓦の屋根やシーサー」「さとうきび畑」「ダイビング」。。「誰と」「何をしに」行 くかでイメージも変わってくると思います。今回はみなさんが持っているイメージに、新たに加えてほしい「魅力的な沖縄」のご提案です。
「魅力的な沖縄」のひとつ、それは泡盛の老舗「神村酒造」の「泡盛蔵見学&預り古酒」というオリジナルメニュー。じつは、泡盛が大好きな人だけでなく、泡盛を飲んだことがない人や、お酒を飲めない人、小さな子ども連れの家族でも楽しめるメニューなんです。
沖縄の銘酒として知られる「泡盛」は、琉球王朝時代、王家から認められた 酒造所しか作ることが許されていなかったお酒。うるま市石川嘉手苅(かでかる)にある緑豊かな森にたたずむ神村酒造は、明治15年創業の泡盛の老舗。創業 以来作られている銘柄『守禮』は、芳醇でコクのある味わいが多くの人を魅了する伝統的な泡盛。そして一番人気の『暖流』は、ほんのりウィスキーの香りが漂 う、西洋のエッセンスが効いた泡盛です。戦中に貯蔵していた全ての泡盛を失い、品質高い泡盛づくりが困難な状況のなかで「ウィスキー樽で貯蔵する」という 発想を見いだします。苦節10数年、ウィスキーの芳醇な香りと泡盛のコクが見事に調和された『暖流』が誕生します。泡盛好きやウィスキーを嗜好する人に限 らず、多くの人から愛される一品となりました。
さて、ここまでお酒の話が中心でしたが、お酒が飲めない方にオススメなのが『もろみ酢』と『うめかおる』。泡盛の原材料である米麹と水を発 酵させて、自然の力だけで作られたもろみ酢にはクエン酸とアミノ酸が豊富に含まれ、毎日の健康管理に役立ちます。神村酒造の作るもろみ酢は、「美味しく飽 きない」飲みやすさを追求し、オリゴ糖や県産サトウキビを使用して毎日つき合える味になっています。
つづいて、紀州南高梅の柔らかな酸味にもろみ酢とオリゴ糖を加え、もろみ酢をさらに飲みやすくした「うめかおる」。クエン酸がたっぷり入っ ているので疲れやすい体質の方や、暑さの厳しい時、体力消耗している時など、冷やしてクイっと飲むと気分も爽快。ジュース感覚で飲め、体の調子も整えてく れるので、子どもからお年寄りまで幅広く愛されています。『もろみ酢』も『うめかおる』も店頭で試飲が可能なので、お気に入りの味を探してみてはいかがで しょう。
スイーツ好きの女子やお子さまたちにオススメなのが、泡盛を生地に入れて焼き上げたパウンドケーキ。ココア風味の『守禮』と沖縄の柑橘「タ ンカン」のピールが入った『暖流』の2種類から。生地に含まれた泡盛のアルコール分は焼き上げた際に蒸発しているので、気にせず安心してお子さまでも美味 しくいただけます。また、スイーツでお酒のフレーバーも楽しみたい方々にお薦めしたいのが『泡盛チョコ』。ずっしりとした濃厚なスイートチョコには『守 禮』が使われ、甘い豊かなコクのあるホワイトチョコには『暖流』が使われています。こちらは、ウィスキーボンボンならぬ「泡盛ボンボン」。しっかりとお酒 の味わいも堪能できる、大人向けのスイーツです。
それでは、いよいよ、神村酒造を徹底的に楽しむ「酒造見学」と「預り古酒(http://okinawaclip.com/ja/detail/877)」をご紹介していきたいと思います。
まずは見学の前に、神村酒造についての映像を鑑賞します。神村酒造がどのような軌跡を辿り、泡盛を受け継いで来たのかを学ぶところからスタート。
神村酒造の酒造見学は、ガラス張りの外から見学するのではなく、実際の工場の中を巡ることができるので、五感で楽しめることが特徴です。酒蔵に入った途端、発酵した麹のあま~い香りが漂います。
泡盛の原料となる米麹、黒麹菌、もろみの話、そして製造工程など、熟練のスタッフが詳しく説明してくれます。
説明の合間に、暖流を貯蔵していたオーク樽でリメイクしたテーブルと椅子で記念撮影も。シャッターを切る際の掛け声は、にっこり笑ってみんなで「あ・わ・も・り~」が基本。
最後は地下蔵へ移動して「預り古酒」についての説明を聞きます。「預り古酒」は、泡盛にとって最適な環境で5年間(最長10年まで)貯蔵して、熟成 されたのちに発送するサービスです。旅の記念だけでなく、結婚や、出産など人生のメモリアルに合わせて預けている方も少なくありません。地下蔵にずらりと 並んだボトルのネックには、泡盛を預けた方々の記念写真とともに、将来への想いや夢などのメッセージが書かれています。預かり期限が満了して届いた古酒 は、すぐに開封する人もいれば自宅でさらに寝かせて子どもの成人式の祝い酒として一緒に飲む方も。それぞれの人生と、育まれていく泡盛、時を経て互いに熟 成したときに再会できる、感慨深いサービスです。
「5年後・10年後に自分がどうありたいのか」ということを旅先で考えて文字にする体験はなかなかありません。実際に文字にしてみると、自 分の描いた未来に向けて、旅先から戻ったあとに始まる日常も頑張れる気がします。ともに人生を歩み始めたばかりのふたり、この世に生を受けたばかりの子ど もがいる家族、深い絆で結ばれた友人たちが、同じ時間を共有し、美酒の眠る森で描く未来は、きっと明るく照らされるはず。そのために神村酒造ができること は、心地よいクラシックの音楽をかけ、適正な温度や湿度で行き届いた管理のもとで、夢の詰まった泡盛を大切に寝かせること。「たった1日の出会いが5年・ 10年預かることで家族のような絆が生まれてくる」と語る神村酒造の蔵人たち。お客様から、子どもが成人したという報告を受けたときは、まるで親戚のように喜んだとか。
最後はいよいよ試飲です。『守禮』『暖流』『芳醇浪漫』など、度数の違うそれぞれの泡盛を、「香り」と「味」両方で楽しみます。ハンドルキーパーの 方は、先ほどご紹介した『もろみ酢』『うめかおる』をどうぞ。まずは香りから、そして口にの中に含んで芳醇な香りとコクのある味わいをゆっくりと時間をか けて堪能します。
今回体験されたお二人に感想を伺うと
「麹の香りが心地よくて、喜びが止まらない!」
「樽の香りが全然違う。泡盛は香りで楽しむことができるので楽しい!」
「預り古酒は、未来への種まきみたいで楽しい!」
「泡盛が大好きなのでもっとたくさんの人に泡盛の良さを伝えたい!」
と、満面の笑み。
泡盛が好きな人たちを、自然と引き寄せてつながり絆も深くなっていく。これも沖縄の魅力の一つといえます。長い歴史の中で繰り返される困難 を、いつだって三線の音と泡盛で乗り越えて来たウチナンチュの逞い優しさが、人々を繋いでいくのでしょう。「神村酒造のアットホームなおもてなしは、まる で沖縄のお母さんのよう」と語る、ふたりの思い描く5年後の未来が楽しみです。そして、この記事を読んで神村酒造へ行かれる方は、工場見学の記念撮影の掛 け声を忘れずに。1回目は「あわもり~」、2回目は「おかわり~」3回目は「よっぱらい~」ですからね。
有限会社神村酒造
住所/沖縄県うるま市石川嘉手苅570
電話/098-964-7628
営業時間/10:00~17:00
HP/https://kamimura-shuzo.co.jp/
定休日/年末年始・第3、4、5日曜・臨時休業有り
※工場見学は事前予約が必要です。詳しくはHPよりお問い合わせください。
沖縄CLIPフォトライター monobox(河野哲昌、こずえ) <http://okinawaclip.com/ja/detail/711>
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