
記憶にへばりついたのは、人生初の「サバニ」体験。正確に言うと、帆をかけた「フーカキサバニ」。サバニとは、簡単に言うと沖縄の伝統的木造帆船。ずっと乗りたいと思っていたんだけど、なかなかその機会に巡りあえなかった。

そんな折、同じフォトライターのフクちゃんから、お誘いが。
サバニチームを持つ『海想』のちょっとした乗船イベントで、一般の人も数名乗れるんだけど、どう? 「渡りに船」とは、まさに、これ。もち二つ返事で(でも、前日夜まで頗る天候悪く、朝方までぐずついてて、おまけに午後から雷というテンションど下がり↓な天気予報、否、注意報…汗。で、AM7時の「決行」電話が。。。もちヒヨって早朝ドタキャン決めようとしたけど、、フクちゃんに怒鳴られて、やっぱり)参加。

4月28日(火)AM9時。北部の東海岸、名護市の汀間(てぃーま)漁港から、2艘のサバニ舟、(クルー合わせて)計19名で、出航。

午前中は雨もふらず、それどころか時折陽光も降り注ぐなど、上々の滑り出し。心配されていた海況も至って穏やか、と予想に反してコンディションは◎。

エーク(櫂)を漕いでいるうちに体は温まり、脳みそや四肢に熱い血潮が廻る。おもむろに、自分が今、とてつもなく心地よい時を過ごしているという事実を、認識…。
時折手を休め、水分補給。うまい。音の無い海上という世界で、ただ波に揺られ、風に吹かれる…。

恍惚。快哉。愉悦。忘我。 エクスタシー(?)。
機械に頼らず、ヒトの体と自然の力で、前に進むという、至極原始的物理現象。地球と有機的につながる悦びが、全身に満ちる。

…というような、(柄にもない)ロハスでネイチャーな内容でも良いんだけど、それ以上に自分が気に入ったのは、何と言っても、その「見た目」。ま、細かい構造やデザイン理論などの解説は、各サイトに詳しいのでお任せ。以下は、乗ってて思った魅力を覚書。

●その美しいフォルム。流るような流線に、シャープな輪郭。帆とボディによる三角形のバランスも黄金率とか何とかわからないけど、きっと何か隠されてるんだろうなあ。
●意味のありそうな帆の四角形。聞くところによると、飛行機の「翼」と同じ形で、揚力を得ているんだとか。なるほど&なるほど。
●サイドカーっぽいトリガー。これは個人的な見解だけど、トリガーというのが、どうも好きだ。昔読んだ、ハックルベリー・フィンの冒険に出てきた手作りの筏の挿絵にも、こんなのが付いていた(ような)。
●偉い人が座る位置。操舵する船長(のような人)は、一番後ろにいて、手綱で、帆を動かすわけだが、なんというか、後ろから皆を見守っているような構造も何となく安心感。
●余計なもののないシンプルさ。当たり前のことだけど、ミニマルデアルコトというのは、明確で分かりやすいインプレッションを与えてくれる。

前から見ても、横から見ても(きっと上から見ても)、文句なしにハンサムボーイ。“所有したくなる”、そんなアイテムとしての説得力は、相当に高い。

東京にいた頃、モノ雑誌の編集をやっていたから、その辺りの嗅覚が鋭く敏感に反応する。未だに。

沖縄CLIPフォトライター 小川 研(Qey Word)
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