今年も懲りずにエントリー。そう、沖縄冬の風物詩『NAHAマラソン』(第32回大会)。当サイトでは、フォトライターとなった2014年に(個人としては7回連続となる)「第30回」、そして翌年「第31回」と、2年連続で出場&レポ済み。で、今回(つまり個人としては9回目)もモチ継続。でも。3年連続で同じ様なことを書くのも芸無さ過ぎなので、今回はコラム枠にて、苦闘の現場を主観ヴューでお届け(写真は走行中に見かけたエトセトラ)。
まずは大会概要。主催は、NAHAマラソン協会。キャッチはおなじみ“太陽と海とジョガーの祭典”で、正式名称は『第32回 NAHAマラソン』。日時は、2016年12月4日(日)9:00〜15:15(制限時間6時間15分)。会場は、那覇市の国道58号明治橋交差点からスタートし、本島南部域5市町にまたがる42.195kmのコースで、那覇市の奥武山(おうのやま)陸上競技場にてフィニッシュ。ま、いつもと、ほぼほぼ同じ(豊見城警察署辺りで、一部コース変更あり)。
何と言っても。今年の特徴は、大会史上稀に見る53.2%という絶望的な完走率…。出走者26,573名で、完走者は14,138名と、悲しいかな、大会史上セカンドワーストをマークするという、恐るべき大会だった。
それもそのはず。当日、那覇市の気温は、12月の観測史上最高!となる、なななんと28.2度(那覇の師走で、観測史上最高気温はこれまで1914年12月1日の28.0度。これを上回った)。まさかの美ら海輝きまくりな夏日和のおかげで、半数近いランナーが涙のリタイアという結末に。
で。今回が9回連続出場となる自分はといえば。実は今年の春先にランニング中、人生初の「熱中症(ヒートストローク)」なるものに罹患し、その恐ろしさを知ることに。それまでは、そんなストロークとは縁がなかった故、何それ?くらいにしか思っていなかった。がしかし。あれは一度かかってしまったが最後。以降、かかりやすい体になってしまうという粘着質。そんなわけで、今回出場に当たって、自分にとって、暑さこそ、最悪の不安要素であったわけだが、なんとその、最も来てほしくないイジメっこが、ドンピシャでズバリ幅を利かせやがったのである。
当日。早朝こそ小雨もパラついていたが、昼前くらいから急激に空がピカピカにサンシャイニング。この時期珍しい太平洋高気圧の勢力発達とかいう、全くいらないいるわけない観光客大喜びのサプライズが、ジリジリと地球を照射。おまけに、朝の小雨が、細やかに湿度をUP&ボディブローがごとく効果てきめん。極めつけに、無風。気温はといえば必然的にみるみる上昇、ジョガーにとって最も避けたかったtooバッドなコンディションが前半戦のうちに早々と仕上がった。
実は。雨でヘトヘトだった前回の5:43:30という屈辱的な、自己セカンドワーストを圧倒的に凌駕すべく、今回(特に本番前1ヶ月)は珍しくストイックに走り込みを続けていた。20km☓2回、30kmも1回こなすなど、稀に見る精力的かつ人知れず地道に闇練。もちろん本番前4日間はしっかりお休み、アルコールも程々&湯船で体のハリを取るなどスクランブル。個人的に久々の5:15:00ギリを大マジに目論んでいた(ちなみに、自己ベストは、出場2回目の4:49:13)。
が。そんなものは、スタート直後に、神話であったことを痛感。「やばい」。走り始めて2〜3km程、心 < 体が素直かつ敏感にレスポンス。わりと早い時間にクライシスの到来を直感。毎年、たとえ緩やかであろうとも、「全行程で、NO!ウォーク」で、走り続けること(だけ)には、こだわって来た。でも。爪先から髪の毛一本まで余すところなく全身を包み込む、直射日光とねっとり湿度の高い気温。ノーウォークとかそんな漢気(おとこぎ)など生じる余裕などあるはずもなくセーフティ第一路線にあっさりプラン変更。あれこれ戦術を練り直す。
もちろん。優先順位気味最高位的タスクとしてノミネートされたのは、毎度ありがたき沿道応援のミナサマによる水分補給のゲット&ドリンク。体温上昇を抑えるべく、インナーから体をしとしと潤す。
それから。目に入るのが、これまでの大会で一度も手にすることのなかった「スポンジ」。この小さな巨人のありがたみを、今回初めて認知。でも、それは限られた場所にしか置いてない。てことで、お次はもちろん迷わず飲料用の水を頭からブッかける(でも、時々スポドリだったりもして、そんなもの頭から被った日には不快指数リミッター超えなので、一度テイスティング必須)。後は、ごく稀に、ホースで水を吹きかけてくれる民家などがあった日には、この上ない幸。
後は。裏技として、ありがたき沿道応援サマより貸していただく高得点アイテムであるゴールドならぬコールドスプレー(←普段はもち張り詰めた筋肉に噴射するわけだが、これ)を、首筋バック目に躊躇なく接射。ドキっとする程のケミカルな瞬間冷却は、癖になりそ。
そして。それより何より、何としてでも出逢いたい世界最強最高峰の神アイテムが「氷」。愛しの沿道応援サマが氷袋をかざしてくれていたり、クーラーボックスなどに氷山の様に置かれていたり。これらを首尾よくゲットし、直接ウナジに接続すれば、蘇生率200%。ベホマズンのごとく元気ハツラツしっかりはっきりリバイバル。
こうして。過酷なシチュエーションをサバイブするために、上記の様な回復アイテム達をすべからく入手すべく視線はいつでも、30〜50m先におわします沿道応援さん達の動向。今の自分に必要とされる何かしらを、目ざとく見つけたら即、そのアイテムをアクセスすべく(群がるランナーの間隙を縫って)最善短距離のルート(コース取り)をシュミレート。
かくして。青天井の体温上昇バブルにストップをかけるべく、全身全霊でヒートストロークにカウンター。それでも、上記、幸せの黄色いハンカチ的サポートグッズたちが、一つも見当たらない区間というのは、随所に存在するため、0になったらアウトなヒットポイントは一桁台の赤表示もザラ。そんな時こそ、よんな~よんな~。焦らず徒歩モードでとことこ。
ちなみに。出来る限り間断なく水分補給を行うため、もちろん「アウトプット」も早い&多い。それに、度重なるドリンク補給につきこみ上げて来るものも時々うぷっ。その都度、無駄に足が止まる。繊細ながらも確実なタイムロスが、こうしてドシドシ稼がれるという、ネガティブ(にしか作用し得ない)なシークエンス。
おまけに。予期せぬ副作用もあれこれカミング。一番の問題は、当記事用に携帯していたデジカメ。防水仕様(なので、頭から水を被るのは問題なし)であるものの、水を被る度に、ウェッティ+熱中症気味のアツアツ体温で、いつの間にやらレンズに結露出まくりに。この症状が致命的なのは、全く使えない写真を知らないうちに大量生産してしまっていること。タフな走行中はディスプレイでチェックなんてできるはずもなく、帰宅後のパソコンチェックで汗と涙と共に発覚。ご覧の通りの劣悪クオリティのオンパレード(それでも使えそうなものを何とかチョイス)。
さらに。もう一つ、今回気持ちにトドメを刺されたのが、ノーミュージックノーライフになってしまったこと。超小型(に尽きマラソン出場時は毎回確実に必携して来た、超が付くお気に入り)のiPod nano(第六世代)までもが、度重なる難病支援キャンペーンばりの水被りのおかげで、ある日突然ウンともスンとも言わなくなり、ジ・エンド(帰宅後、ドライヤーで乾かしたら、一応動作は出来るように復活したのでご安心を。でも、少し調子悪め)。
と。おおよそ例年では予期せぬネタかよ的インシデントがバリエ豊かにイロトリドリやって来やがって、あらゆる(集中・精神・推進・体・気・馬・努・底・他)力が、一切削がれ、エッヂはもうすぐそこ。ちなみに、走行中、自分が眼にしただけでも、路上にブっ倒れていたジョガーは10人オーバー。サイレンブリバリの救急車とも何台もすれ違った。
それほど。熾烈かつ凄惨なオンザロードだった。もちろん、それら今年ならではのマッドな要素を差し置いたとしても、毎度の事ながら30kmを過ぎると、そこから先は常に危険なバイタルエリア。目の前に広がるは、ひとり不安という名のホリゾント。
それでも。「きッッちぃっすよ…」「ぃぃい〜や、マヂ厳しいゎ…」「つか暑っっっちぃって…」「まだあと10km…」「遠ッ…」「うぅゎーーーーまだまだ長ェ…」とか独り言ちつつもネバギバ。お腹さすったり、草むらで出すもの出したり、ストレッチでごまかしたり、何とかカンとか5時間半…。ゴール前の沖縄セルラースタジアムが、数100m前に出現した時は、感動&感銘&感激、、、は一切無し。無風無音無言無心で、最後の聖戦の地・奥武山陸上競技場のトラックに、イン。「こっからがまた長いの何の…」「あとちょっと…」「早く…」「早く終わって…」などなどあれこれ愚痴やら激励やらを口&心にぶちまけつつ、ドロドロでフィニッシュ。
ああ疲れた。
その瞬間。クラっ…と、「ぁ倒れるかも❤」とか重力に身を任そうかと思ったけど、「混み合っておりますので、ゴール付近で立ち止まらないで下さい」と、容赦なきアナウンスがドバドバ降り注いだので、(倒れるのを)諦めた。フツーに、完走証と記念のメダルを受け取り、おしまい。ま。9回目の完走なので、ぶっちゃけ感動は薄め。それよりは、新たな宿敵・ヒートストロークに粘り勝ちできた安堵感が少しだけ新鮮。
でもその直後。毎年、完走者だけに無料で振る舞われる、おなじみNZ産おつかれステーキ(某協賛社による毎年恒例であった赤字覚悟の出血大サービス)が今年は無かったことが、大いにショックだった。
結局。記録としては、5:45:22(9020位)。昨年記録したmyセカンドワーストにすら絶妙に届かず(結果として、新たなセカンドワーストが誕生)。ま、ま、こんなもん。てなことで、もうここまで来たら10年連続完走は、目指そうかな、と懲りずに想いを馳せる今日この頃。
【追伸】
今回は、個人的視点に基づくストーリーにつき、アツイ・ツライ・キツイのオンパレードとなりましたが(苦笑)、本来「NAHAマラソン」は、爽やか&感動の大会です!ので、念のため。嫌いにならないで下さいね(笑)。そして最後に。参加されたジョガーの皆さま、本当にお疲れさまでした。完走された皆さま、おめでとうございます。リタイアされた方、お身体大丈夫でしたか? そして何と言っても、毎度沿道で応援して下さる地域住民の皆さま、大会運営に携わるボランティアの皆さま。皆さまの温かいサポートが無ければ、(自分の完走は元より)全体の完走率も更に下がっていたであろうことは、火を見るより明らかです。本当に本気で本格的に、心のドン底より感謝申し上げます。ありがとうございました。来年もまた、よろしくお願いします。
第32回 NAHAマラソン
日時/2016年12月4日(日)9:00~15:15(制限時間 6時間15分)
会場/[スタート]国道58号線明治橋交差点・[ゴール]奥武山陸上競技場
コース/平和祈念公園コース(日本陸連公認コース) *フルマラソン42.195km(日本陸連公認)
定員/30,000人
参加費/(一般)フルマラソン:6,500円
主催/NAHAマラソン協会実施本部
HP/http://www.naha-marathon.jp/
沖縄CLIPフォトライター 小川 研(Qey Word)
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『第32回 NAHAマラソン』〜熱中症をやっつけろ〜 #今年もモチ完走
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