
沖縄の近代史を体感できる感動体験プログラム『五感で体験!アメリカ世(ゆー)の旅』。今回の旅のキーワードは“アメリカ世”。沖縄は戦後すぐから本土復帰する1972年(昭和47年)までの間、アメリカ合衆国による沖縄統治の時代があり、その時代のことを“アメリカ世”と言います。異文化(アメリカ文化)と沖縄の文化をチャンプルー(融合)させながら、たくましくもユニークな文化が育まれた“アメリカ世”をたどる1泊2日の旅。本土復帰6年後に車両が右側通行から左側通行に切り替わった当時から現役のレトロな“730バス”を貸し切って巡ります。

今回の旅でガイド役を担当するのは、ラジオ番組のパーソナリティーとしてもお馴染みの“赤瓦ちょーびん”さん。歴史文化コーディネーターとして沖縄の戦後史についてもとても詳しく、名ガイドとして知られているかたです。ためになる話から、歴史に絡めたおもしろエピソードなど、豊富なネタトークでバスの移動中も楽しませてくれます。

“アメリカ世”の頃の通貨はドル? それとも円? 戦後すぐは無通貨の時期もあったのですが、その後、“B円”とよばれる軍票が流通していた時期がありました(上記写真)。

さらに久米島(くめじま)の場合は、B円さえも使用できず、“久米島紙幣”という援助物資引換券が、お金の代わりに紙幣類似証券として流通したことが一時期あったそうです。今まで見たことがなかったのですが、その珍しい久米島紙幣やB円を見ることができる場所があります。それが、このツアーの一番最初の訪問場所「日銀那覇支店」。那覇市の新都心エリアにあります。

次に食文化はどうだったのでしょうか。アメリカ世の時代は、アメリカの食文化に影響を受けました。その当時から現在まで続いているお店が今もあります。それが、輸入食品やアメリカンなベーカリーやレストランとしても知られるJimmy's(ジミー)です。

てっきり外資系かと思うほどの雰囲気がありますが、創業者は沖縄のかたで、かつて米軍基地内で働いていた時に、戦後貧しい食事をしていた沖縄の人々にも豊かなアメリカの食文化を味わってもらいたいと、本場アメリカ風のベーカリーを1956年にオープンさせたのがはじまり。現在は県内23店舗もあり、今回は那覇店を見学。ショッピングも楽しみました。

また、アメリカ生まれ沖縄育ちの食べ物といえば、ブルーシールアイスクリームも有名ですよね。本店は浦添市(うらそえし)牧港にあります。ここでアメリカを感じられるのが、店内でドル両替ができること。海外からの観光客はもちろんのこと、沖縄在留の米兵さんも訪れやすくなっています。

牧港本店ではアイスクリームを食べらるだけでなく、いくつかの体験もできます。そのひとつがオリジナルのアイスクリームを作り。ツアーで初対面となった参加者のみなさんと一緒に、わきあいあいとコミュニケーションを築いていくきっかけになりました。

もうひとつが、ふだんアイスクリームを保管している冷凍庫の中で、アイスクリームの気分を体験することができる、というもの(マイナス20度ってどれくらいの冷たさなのかご存知でしょうか?!)

夕食は、北谷町(ちゃたんちょう)にあるピザレストラン「Pizza in Okinawa」へ。メインメニューはアメリカンピザ。チーズたっぷりなピザがメインメニューでカロリーが高そうですが、ビュッフェスタイルなので、お好みの量で、お好みのものをいただくことができます。

サラダやピザのほかにも、カレーライスなどもいただくことができます。オプションでフリードリンクを付けたり、沖縄のオリオンビールといっしょに頂くのもおすすめです。

食事を済ませたあとは、移動中のバスの中で、レーションを見せてもらいました。レーション(C・K)とは米軍の携帯食品のことで、その中身を広げながら、戦後、収容所での食事はどんなものだったのかを少し学ぶことができました。

宿泊先は沖縄市の「デイゴホテル」。1966年創業の老舗の観光ホテルで、大浴場も備えています。宴会場では、昼間にJimmy'sなどで購入したデザートやお茶をいただきながら、デイゴホテルの社長さんから、当時の米軍属のファミリー客などとホテルで交流してきた思い出深いエピソードを聞かせてもらうことができました。ホテルに一旦チェックイン後、いよいよ、コザ(沖縄市の通称)の夜の街を楽しみます!

コザといえば、戦後から米兵相手のお店が立ち並ぶ国際色豊かな街でもあります。現在も夜になると、アメリカ人をはじめ外国からのお客さんで賑わう街です。その異国情緒な雰囲気を味わうため、沖縄市の専門ガイドさんに夜のコザのお店をご案内頂きます。

コザの街には、米兵客相手に演奏の腕を磨いたミュージシャンたちによる本場のロックを楽しめるライブハウスがあります。もしかしたら、夜のコザの街でライブ観賞するのは敷居が高いと思われているかたもいらっしゃるかもしれませんが、ガイドさんにご案内頂けるので安心して楽しむことができます。連れて行ってもらったライブハウス「JET」では、ドリンクをオーダーしたらライブチャージなしで本格ロックの生ライブを体験できるのです。リクエスト曲を演奏してもらうこともできて、最高に楽しい夜を過ごすことができました!

2日目は、うるま市石川へ。石川には戦中から戦後まで収容所がありました。その時代の人々の暮らしを知ることができる歴史民俗資料館を巡ったり、当時の人々に生きる活力を与えた芸能を学ぶため、収容所時代に生みだされた楽器・カンカラ三線を作る体験も。ちゃんと音も出て感動! でもその音色が少しもの悲しくも感じられました。

また戦後は食料が乏しく、たまには天ぷらの味を味わってみたいと思う気持ちから、果敢にもモービルオイルで天ぷらを揚げて食べようとした先人たちもいたとのこと。しかし、モービル天ぷらを食べたあとは…やはりお腹を下したらしく、それが一体どのようなものだったのか、実験で再現してみました。揚げている最中の臭いはとてもキツく、あの当時においしい味をどうしても味わいたいという願望がどれほどのものだったのか、もちろん試食はできませんでしたが、少しだけ知ることができました。

モービル天ぷらを目だけで楽しむと、なんだかお腹がすいてきました。ランチは、米軍施設内にある「知花ゴルフクラブ」(沖縄市知花)でアメリカンフードをいただきます。アメリカンムードたっぷりの雰囲気の中で、英語メニューから注文。しっかりとした味付けのハンバーガーやアメリカンドッグなどを味わいました。

食後は、アメリカ統治下に開業したショッピングセンター「プラザハウス」(沖縄市久保田)へ。今回はお買い物よりも、統治下時代の写真展示の見学が目的でした。雰囲気のある佇まいの中で、モノクローム写真から当時の様子を伺っていると、その時代にタイムスリップしていくような感覚になるから不思議です。

沖縄市から北谷町にある華やかなアメリカンビレッジへ向かう途中、急な坂の斜面にトタン屋根の家々が並んでいました。戦争で米軍施設に土地を接収されたあと、北谷町謝苅(じゃーがる)の丘の斜面の、車も入らないような路地の中に住処を建てるしかなかったとのこと。

いっぽう、北谷町美浜にはアメリカ西海岸を模して作られたテーマパーク「美浜アメリカンビレッジ」があり、買い物客などで賑わいをみせていました。沖縄近代史の過去と現在を知り、新旧のものを見て、そこに光と影を垣間みるような、アメリカ世(ゆー)の旅。知っているようで知らないこともたくさんありました。

最後に、このツアーにモニター参加された方々の感想をメッセージボードに掲げていただきましたが、「新しい沖縄を発見した」という言葉がとても印象的でした。ぜひ一度、みなさんも自分の目でみて体感してみてください。今後2017年からは、一般向けにツアー化を予定しているようですので、最新情報は「WOW OKINAWA 感動体験プログラム」をチェックしてみてくださいね!
■感動体験プログラムについて、詳しい情報は公式サイトをご覧ください。
沖縄CLIPフォトライター 桑村ヒロシ(KUWA)
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