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那覇市久茂地の風情豊かな古民家で味わう沖縄そば「琉球茶房すーる」

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朽ち果てそうな古民家を改装して沖縄そば屋に



那覇市のゆいレール「美栄橋」(みえばし)駅から歩くこと約5分。国際通りから少し入った久茂地(くもじ)川沿いに、風情豊かな瓦屋根の古民家があります。ここは、おいしい沖縄そばが食べられるお店「琉球茶房すーる」(以下:すーる)。

2004年にオープンし、今年で18周年。地元の人から、旅行で訪れる人たちまで、多くの沖縄そば好きに愛され続けているお店です。

琉球茶房すーる


入り口の扉を開けると、迎えてくれたのは店主の奥間久子さん。その優しい笑顔と、古民家ならではの木のぬくもりあふれる空間に、ほっと心が和みます。「すーる」という店名は、うちなーぐち(沖縄の言葉)のように聞こえますが、実はスペイン語。「SUR」と書き、「南」という意味だそう。店内は、テーブル席、カウンター席のほかに、座敷席もあり、ゆったりとくつろげる造り。聞けば、「すーる」は、そもそもこの建物ありきで始まったのだとか。

琉球茶房すーる


「昔ここは誰も住んでいない、今にも朽ち果てそうな古民家だったんです。当時、私の主人は不動産業を営んでいたんですが、この建物の持ち主さんから相談があったとき、自分がなんとかしてあげたいと思い、真っ先に『貸してください』とお願いしたんだそうです。そのときから、主人はここで沖縄そば屋をやると決めていたようですね。だから一人でやるのかなと思っていたら、なぜか私も誘われて(笑)。自分が沖縄そば屋をやるなんて思いもよらず、すべてゼロからのスタートでした」

琉球茶房すーるの店内
 

探し求めてたどり着いた本当に作りたい味



まずは、建物の修繕から着手。白アリ被害のあった場所は取り壊し、床もはがしつつ、柱や梁(はり)など、残せるものはそのまま残し、昔ながらの良さを活かした改装を行っていきました。続いて、沖縄そばの研究。ご主人と二人、沖縄の北から南まで食べ歩き、自分たちが提供したい沖縄そばの味を追い求めました。

「なかなか“これ!”という味にたどり着けずにいたんですが、だいぶいろいろなお店を巡った頃、ようやく出会えたんです。かつて糸満市にあった『淡すい』さん。一口食べたとたん、もう本当においしい!と感激して。沖縄そばは、時間を置くと伸びてやわらかくなりがちですが、『淡すい』さんの麺は細くてしっかりコシがあって、まさに私たちが思い描いてた麺だったんです。スープもあっさりしているのに、しっかり出汁の旨味が効いていて、すっかり惚れ込んでしまったという感じ。それからご主人に頼み込んで、お店の味を教えていただくようになりました」

琉球茶房すーるの店内


その後、話を聞くうち、「淡すい」の麺は、店主のレシピをもとに「西崎製麺所」と開発したオリジナル麺だということがわかり、「すーる」でも特別に同じ麺を使わせてもらうように。「ふつうの麺は5~6時間で打ち上がるけど、この麺はその数倍の時間がかかるんだよ」と店主から聞いた、こだわりの麺です。

沖縄そば


「スープについては、いくつかレシピがあるらしく、そのうちのひとつを教えて頂きました。でも細かい分量の話は一切なく、ひととおり手順を話した後、『さあ、あとは自分で作ってごらん』って(笑)。その場で必死でメモしたものを頼りに、自分の厨房で何度も作り直し、味見して頂いて、ようやく『淡すい』さんの味に近づけました。それからも試行錯誤して今の味に至っているので、オープン当時とはまた違う味になっていますが、昆布とカツオをベースにした出汁を大切にしているのはずっと変わらないですね」

沖縄そば
 

「淡すい」の味を継ぎ、改良を重ねた自慢の一杯



「すーる」の看板メニューは、ずばり「淡すいそば」。体に染みるやさしい味のスープに、ツルツルした食感とコシの強い細麺がよく絡み、食べ終わる瞬間まで「おいしい!」が止まりません。長時間かけてやわらかく煮込まれた三枚肉は厚く、食べ応えたっぷり。「淡すい」の味を受け継ぎながら、18年の間、改良を重ねてきた「すーる」の歴史が詰まった自慢の一杯といえます。

淡すいそば

単品やそばセットで食べられるジューシー(炊きこみご飯)は、奥間さんが家庭で作る味をそのままに。ていねいに仕込んだ出汁をベースに、ごぼう、しいたけ、にんじんと一緒に炊いたシンプルな仕上がり。素朴な味わいに箸が進みます。
 

ゆし豆腐はウシおばあちゃん直伝のタレで



ゆし豆腐


「沖縄の食卓に並ぶ家庭の味を」と、メニューに加えたゆし豆腐も人気の一品。沖縄には、ゆし豆腐をトッピングした「ゆし豆腐そば」を提供するお店もありますが、ここでは別々にその味を楽しんでほしいと、ゆし豆腐はあえて単品で提供。奥間さんが、祖母である「ウシおばあちゃん」から受け継いだという、ほんのり甘くて香ばしい特製しょうゆタレをかけていただきます。これが、なんともクセになる味。

メニュー


「うちの家族は、小さな頃からこのタレをかけて食べていたので、ゆし豆腐はみんなこうやって食べるものだと思い込んでいました(笑)。ウシおばあちゃんが作っていた当時を思い出して、きっとこんなふうに作っていたんだろうなという記憶を頼りに、出汁としょうゆをごま油でさっと焼いて仕上げています。以前、伯父が店に来て食べたときに、『ウシおばあちゃんの味だね、懐かしい』と言ってくれて嬉しかったですね」

ゆし豆腐


「お店の前で写真を撮りましょう」と声をかけ、スタッフの方に並んでいただくと、おや? 皆さん目元が似ていらっしゃるような。そう伝えると、3人は実の姉妹なのだとか。オープン当時から18年間、ずっと一緒に「すーる」で働き、共にその歴史を作り上げてきた仲。近年では、義理の妹にあたる弟さんの奥様も加わり、今では女性4人で楽しくお店を切り盛りしているそうです。「やっぱり、家族、親族だからこそ続けられてきたのかなと思いますね」と、奥間さん。「すーる」に、居心地のよいあたたかな空気が漂うのは、そんな絆あってこそなのかもしれません。

新垣千恵子さん、奥間久子さん、上間美音子さん
左から/新垣千恵子さん、奥間久子さん、上間美音子さん

「18年前、沖縄そば屋を始めたとき、正直大丈夫かな?って不安でした。沖縄に初めて観光に来た人がいて、生まれて初めて食べる沖縄そばがおいしかったかどうか。それによって沖縄への印象も、沖縄そばへの印象も大きく変わると思うんです。そういう意味で、沖縄そば屋って責任重大だな、と。だからこそ『また来たよ』というリピーターの方がいらっしゃることが本当に嬉しいし、とても励みになっています。これからも、初めて食べる人が沖縄そばを好きになってもらえるような、おいしかった!っていう出会いのあるお店を目指していきたいですね」


琉球茶房すーる
住所/沖縄県那覇市久茂地3-25-7
電話/098-861-5155
営業時間/月~金曜 11:30~15:00(売り切れ次第終了)
定休日/土・日曜、旧盆、年末年始
ホームページ/https://soba-sur.com/


沖縄CLIPフォトライター 岡部徳枝 


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