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南国に咲きし「花」…と巡る(または綴る)追憶の2015年

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日々取材・撮影で駆けまわっていると、実際に記事では使われなかった、写真(カット)が溜まっていく。キャプションを付けると言った意味や、機能をもたせる説明用の素材では全くなく、イメージカットとして抑えておくもので、ストーリー作りやドラマチックな演出に不可欠なのだ。あるいはまた、否、もっと言うとイメージカットとして捉えるわけでもなく、いつか何処かで使うだろう( ≒ 使わないだろう)と。何とはなしに気ままに撮られて流れて行く、数多のスナップたち。
 
こうした、いわゆるボツカット、アザーカットなどと呼ばれる写真たちがHDDに眠っている。大量に。フと、それら、世に出ることの無い写真たちに、思いを馳せた。すると、特に、かなりの数の「花」たちが眠っていることに気付いた。日の目を浴びずに。
 
特に離島出張などに行くと、必ずしっかりばっちり撮っている。今更言うまでもないが、花は、画(え)になる。もうそれだけで、完成してしまう。そして何より、沖縄では一年を通して、何かしらの花が、どこかしらで咲いており、ふとしたところで出逢える。日々かなり高い確率で。そんな沖縄の花は、日中、風さえ吹いて無ければ動くこともなく、撮影も比較的しやすい。だから、一期一会。いつでも気軽にシャッターを切れてしまう。
 
と、my花たちは、どれだけあ(い)るものだろう…と、とりあえず今年一年に限定しつつ、さまざまな“済”フォルダーを探ってみた。すると出てくる出てくる…。枚数にして優に300枚以上…。こ、こんなに…。まぁどうせ探して出したわけだし、せっかくだから、これら自らshootした花たちに、日の目を浴びさせよう、そう思い立った。何故なら、花は、陽の光を浴びてこそ生きる存在だから。
 
と、インスピレーションを頼りに抽出し終えた時、さらにもう一つ、気付いた。撮影の日付を見ると、ほぼ通年。1月から12月まで、毎月どこかしらで何かしらを撮っているのでは? 月ごとの“12枚分”をコンプリートできる(かも)と。つまり、毎月撮った花たちを時系列で並べれば、いみじくもそれがそのまま自らの1年を顧みるという構成に。なんせ12月という今年最後のコラムだし、我ながらまあまあファンタスティック。
 
…ま、尤も読者の皆さんは、私・小川 研(オガワ キワム)の1年なんぞに興味などあろうはずもないから、せめて彩り豊かな写真だけでも見ていただければ、my花たちは、活きてくる。それだけで充分。
 
ただ、贅沢を言えば、全ての月で異なる花の写真を揃えられたら最高だったが流石にそうはいくわけない。が、それでも、沖縄の●月頃、■辺りではこんな花が見られるのか…と、花好きの方へ、少しでも参考にはなれば嬉しい。
 
題して、沖縄に咲く「花」…で巡る(または綴る)、追憶の2015年。
※各花の名称に関しては、確認が取れていないものもあり。間違いなど見受けられる場合は、ご指摘いただければ、これ幸いに。
 
【1月】
沖縄の新春は、サクラとともに始まる。リュウキュウヒカンザクラが、本土より一足も二足も早く、ド派手なピンクでそこかしこに彩りを与える。ボク自身はと言えば、那覇市内で猫の取材・撮影などをしていた。その途上で出逢った魅惑の花弁に、否応なく惹き付けられた…。桜の下に狂気が潜むと言っていたのは、坂口安吾だったか。

ヒカンザクラ@首里の高台(那覇市)
 
【2月】
この時期は沖縄も、やはり寒い。1年で最も寒い。そんな中、(1月31日の『伊良部大橋』開通に合わせて)今年最初の離島、宮古島・伊良部島へ取材に。吹きすさぶ風と小雨の取材で体調を崩し、撃沈。さすがに花を見つける余裕は無かったようだ…。ということで、いきなり躓くわけだが、つまり2月だけは、撮ってなかった…。画が見つからなかった…。どうあがいても、無いものは無い。無い袖は振れるわけなかったので、ここだけはちょっと強引に。ご容赦を…。

名も無き花飾り@スナヤマカフェ(宮古島市)
 
【3月】
3月と言えば、年度末。ボクたちフリーランスにとっては確定申告という、1年で年賀状と並んで憂鬱でプレッシャーを感じさせる、to doだ…。おまけに私は、昨年末某LCCのセールで、香港片道5,000円を“トリガイ(とりあえず買い)”したがために、完全お遊びのプチトリップなども敢行し、思い出したくないほど追い詰められた…。そんな中、取材はギリギリ数件、あとは家に篭って作業に明け暮れた。

ブーゲンビレア@カフェアーク(本部町)
 
【4月】
3月も終わりに近づくと、一気に空気が緩み出す。これから始まるウキウキのオンシーズンを予感させる温暖な4月は実はmy誕生月。“うりずん”と呼ばれるこの時相は、テッポウユリが主役に躍り出る。最も派手なステージが『伊江島ゆり祭り』だ。今年3つ目の離島となる伊江島にて、初めて目にする20万株もの白い花びらの地平…。圧倒的なスケールでmy魂をゆさぶってくれた。

テッポウユリ@リリーフィールド公園(伊江村)
 
【5月】
GW。1年を通して最初に訪れるハイシーズンには、全国から観光客も押し寄せ、県内各地ではイベントも目白押し。私はといえば、那覇ハーリーの他、名護の山間部や恩納村などに足を運び、取材活動が活発にエンジンがかかり始めた頃。来るべき賑わいの季節に向けて心身が徐ろに熱くなっていく。が、沖縄はGW直後から梅雨入りするため、すぐにその気持も削がれるのだが…。

カンナ@ニライビーチ(恩納村)
 
【6月】
一般に、沖縄では5月のGW後に梅雨入りし、本土が梅雨入りする6月は空ける場合が多い。それにしても今年の梅雨は短かった。2・3週間程度と例年の半分程度で、水不足など心配になった。そんな6月の終わりには、夏の到来を告げる「カーチベー」という南風が吹く。それに合わせて行われる「サバニレース」を船上取材した。舞台は、4番目の離島となる慶良間諸島は座間味島。サバニを、そして海を愛する人々の爽やかな笑顔が、今でもはっきりと印象に残っている。

ハイビスカス@高月山展望台(座間味村)
 
【7月】
そしてとうとうやって来た、夏! 沖縄の代名詞とも言えるギランギランの日差しが、人々を興奮させる。と同時に、台風も一緒にやって来やがる! 実は7月は、今年5つ目となるはずだった渡嘉敷島に行く予定であったが、台風の影響で8月にずれ込んだ。それもあって、離島ではなく本島内をせわしなく動き回ることに。特に、恩納村での取材が多く、何度も足を運んだ。

ハイビスカス@真栄田岬(恩納村)

カンナ@国道58号沿い(恩納村)
 
【8月】
当然のことながら、一年で最も県内外の人々で賑わう夏休み。トップシーズンの8月は、1日から、今年5つ目の離島・慶良間諸島の渡嘉敷島にて、ダイビングの体験取材。白砂とカラフルな魚に包まれたスローダイブは、今年最高の思い出の一つ。そして間髪入れずに、初めての粟国島へも上陸。大真面目に塩の取材を行った他、島全体をくまなく歩いた。個性的な魅力溢れる素晴らしい島だった。
  
モミジバアサガオ@東集落(粟国村)
 
 
【9月】
秋口になると、新しい仕事が入り、いよいよ離島取材が急増。特に9月は相当な当たり月だった。今年6つ目の離島は2月に行った伊良部島へ、再び。その直後に、7・8番目の島へと立て続けに移動。こちらも念願の初上陸となった北大東島&南大東島だ。両島とも、さすが独自の歴史を歩んできただけあり、他離島とは全く異なる、独特な世界観が何とも不思議な島だった。

ハイビスカス@北大東島中野(北大東村)
 
アサヒカズラ@南大東島北地区(南大東村)
 
【10月】
今年9番目の離島は八重山諸島・石垣島。というか、取材自体は10番目となる黒島が目的。実に9年ぶりとなる上陸だったが、以前と変わらず広大な牧場に数千頭もの牛たちがのんびり草を食んでいた。やはり八重山は最高だ。来る者拒まず、日々ゆんたく。いつ行っても思い出に満ちる場所だ。それと、月の後半には自宅周辺でも花を撮る機会があったので、載せておこう。
 
ランタン@黒島(竹富町)
 
サンダンカ(ベニテマリ)@首里(那覇市)
 
アラマンダ@首里(那覇市)
 
【11月】
11月はついこないだ。さすがに風が冷たくなる頃だが、私は、元気に、11番目の、そして今年最後(12/14現在)の離島・渡名喜島へ渡航。こちらも初上陸であったが、国の重要文化財に指定された集落など、古き良き原風景に心が洗われた気がした。実は両親も連れて行ったのだが、非常に喜んでおり、大変だったが大成功だった。
 
ハイビスカス@渡名喜集落(渡名喜村)

ニンニクカズラ@渡名喜集落(渡名喜村)
 
【12月】
そしていよいよ師走。今月初めも花絡みの施設取材があった。冬でも見事なまでに、鮮やかな花びらを拝めるここ沖縄は、やはり南国であることをより一層感じさせてくれる。それでも、少し前まで花を咲かせていたであろう、おそらくサンダンカ(だと思われる)が花弁を落とす寸前の、一瞬を捉えることができた。一抹の寂しさを漂わせるその佇まいは、私に今年の終わりを告げるかのようだった。
 
コダチベゴニア@伊豆味自然石庭(本部町)
 
ブーゲンビレア@伊豆味自然石庭(本部町)
 
サンダンカ@伊豆味自然石庭(本部町)
 
やはり、通年そして県内至る所で咲き誇るハイビスカスやブーゲンビレアが必然的に多くを占めてしまう。それにしても、離島や山間部はもちろんのことながら、私が住まう那覇という都市部でも、多彩な花たちが咲き乱れていることには、ささやかな幸せを感じさせてくれる。そして、こうして改めて俯瞰してみると、赤、オレンジ、黄色、紫と、目につくカラーは実にビビッド。これほどまでに原色に溢れる場所は、全国見渡しても沖縄がオンリーワンなのは間違いない。移住8年目を迎えた今なお感慨深い。
 
けだし、花を撮ることとは、構図を切り取ること、と捉えている。主題がこれ以上ない程明確なため、とても画作りがしやすい。オブジェクトをありのままに見つめ、サっと絡め取り、自らのものとする。それはさながら素描(デッサン)という行為に近い、そんな気がする。誰もが近づきやすいお手軽さという意も含め、花という存在はいよいよ素晴らしい。
 
ところで、ふと振り返ると、1年で11もの離島(ほぼ1ヶ月強に1回)出張(うち粟国、北大東、南大東、渡名喜の4島は初上陸)という、いつになく忙しない1年だったな…と、我ながら少しばかり驚く。まあそれなりにガンバったねー、おつかれー > 自分、と独りほくそ笑むのもたまには良し、か。
 
以上、沖縄に咲く「花」…で巡る(または綴る)追憶の2015年。はてさて、来年はどんなボツカットたちが輝いてくれるのか、とりとめもなく想いを馳せつつ、筆を置く。
 
皆さん良いお年を。

 
 
 
 
 
沖縄CLIPフォトライター 小川 研(Qey Word)
 
 
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