世界で人気のスタンドアップパドルサーフィン(以下、SUP)。いま日本でもじわじわとファンが増えてきています。
SUPはハワイ生まれのマリンスポーツで、ボードに立ってバランスをとりながらパドルを漕ぐスポーツ。サーフィンといえど、プローン(腹ばい)スタイルの通常のサーフィンとは全く違うのです。長距離のクルージングが楽しめるほか、全身運動になるのでエクササイズ効果も高いといわれています。ルーツであるハワイでは、性別や年齢問わず、多くの人に親しまれています。
「ハワイと同じように、おだやかな波から外洋まで、どんなレベルの方でも楽しめる沖縄はSUPと相性がいい」と語るのが吉田竜平さんです。吉田さんはマリンスポーツを求めて2001年に沖縄へ移住。ライフセービングの仕事をした後、2010年ごろからSUPを始めた、沖縄SUPの第一人者です。多くのSUP大会やイベントなどにも出場し、上位入賞で彼を見かけない大会はありません。
SUPが沖縄と相性がいいのは、波だけではないと続ける吉田さん。なんといっても沖縄独特の景色がSUPを楽しむポイントなんだそう。
「SUPの特徴のひとつは上から眺める景色がすばらしいこと。シーカヤックやカヌーなどは、ほぼ水面からまわりの景色を眺めますが、SUPは立って眺めるので見え方が違います。特に上から眺めるサンゴ礁の景色はすごく感動的。だから沖縄の海にもっともマッチしたマリンスポーツがSUPだと思うんです。」
もともとSUPという言葉のない時代から、沖縄のオジイたちは船尾に立ち、竹竿で船を漕いで漁をしていました。その姿はまさにSUPそのもの。「40年前からやってきたさー」と語るオジイに、吉田さんはSUPの原点に出会った気がしたといいます。
沖縄でSUPをするには、5・6月がおすすめ。沖縄は梅雨の季節ですが、吉田さんによると雨はSUPに好都合なんだとか。
「雨はSUPには好都合。というのも、パドリングでほてった体を雨がクールダウンしてくれるからなんです。またこの季節は意外に波がおだやか。さらに雨は空気中のホコリなどを洗い流してくれるので、降った後は空気がきれいになり、景色もくっきり見えます」
これからの季節でも安心して楽しめますね。
吉田さんおすすめのSUPスポットは、沖縄本島ならやはり手付かずの自然が残る北部。離島なら慶良間諸島がおすすめとのこと。那覇からアクセスしやすいだけでなく、海の透明度が抜群! そんな素晴らしい海の上を歩くような感覚で楽しむことができるのもSUPだからこそ。
ダイビングでもなく、サーフィンでもない。沖縄の海をまた違った視点で楽しむことができる新しいスポーツ、SUP。いつものマリンスポーツでは物足りなくなってきた方には特におすすめです。