
沖縄本島北部の先っぽにある辺戸岬(へどみさき)から少し南下した海沿い。道すがらヤンバルクイナの標識がちらほら見えるやんばるの奥に、濃密な自然を感じられる宿、「朝日家」があります。

ここは名前のとおり、朝日が見える宿。それも海からぐんぐん昇る太陽に出あえる場所。昼は青く澄んだ空と海を間近にし、夕暮れどきには沈みゆく太陽に照らされて空が茜色に染まっていく。そして漆黒の夜に待っているのは、満天の星たち。
1日を通して、さまざまな空を楽しめる宿なのです。

この海辺が好きで、よくキャンプをしていたというオーナー夫妻が、ここで宿をはじめたのは2007年のこと。
元々あった建物をいかしながら、ほぼ手づくりで仕上げたという宿は、ダブルルーム、ツインルーム、ファミリールームの3部屋です。

部屋に入ると、琉球漆喰の壁にペンキを塗った床。麻でちくちく手縫いされたカーテン。手づくりの温もりに包まれます。

テーブルといすのほか、使い勝手のよさそうなキッチンがあり、炊飯器もトースターも。連泊したり、自炊したいときにとても便利。外には自由に使える洗濯機まで。
そして、部屋の奥の窓から見えるのは……

手つかずの自然ビーチ!
晴れた日の、空と海のとびっきりの青さといったら、吸いこまれてしまいそうなほど美しくて。この景色を見てほしいからと、窓にはカーテンがありません。

海に面したシャワールームや洗面スペースも同じ。カーテンを取りつけず、ぐっと海を間近に感じられます。
BGMは波の音。朝は鳥のさえずりで目を覚まし、時にはヤンバルクイナの鳴き声が聞こえることもあるそう(スゴイ!)

「ありのままの自然の中でゆったりと過ごしてほしくて。ここには海も山も川もあって、命があふれています。自然から感じるもの、得るものを存分に味わってほしい」と、オーナーの安次嶺雪音(あしみねゆきね)さん。
優しい波にぷかりと浮かんだり、ぼーっと海を眺めたり。昼寝をして本を読んで……自然に身をゆだね、時間を忘れて過ごしたい、そんな場所。

宿の隣は、同じオーナーが経営する「CAFE 水母(くらげ)」です。
宿泊時の朝ごはん、夕ごはんは、この場所で。食材は沖縄のものが中心。化学調味料などを使わずにていねいに作られたごはんを食べられます。
そして宿泊しながら、ティーブレイクしたり、かき氷(夏限定)を食べたり。この海辺のカフェで過ごせるのも、宿の大きな魅力です。

歩いてすぐの場所には、透んだ川があります。ほとんどが浅瀬なので、子どもが遊ぶにもうってつけ。
「奥には滝つぼもあるのよ。行ってみる?」という雪音さんの言葉に誘われて、ざぶざぶと水をかきわけて進むと、滝つぼの前で、この日宿泊しているファミリーが気持ちよさそうに泳いでいました。

本当はチェックアウトする予定だったのに、あまりにも自然のエネルギーが心地よくて延泊を決めたというファミリー。この場所で過ごせるなら、その気持ちもわかるな~と納得。カメラを投げ出して飛び込みたーい!という衝動とたたかったことは言うまでもなく……笑
そうそう、ここは充分に気をつけて自己責任で楽しむ場所。滝つぼ付近は深さがあるので、ライフジャケットやうきわ持参がおすすめです。

空港からは高速にのって車で2時間30分~3時間。けっこうな道のりだけれど、近くには辺戸岬や茅打ちバンタ、大石林山などの観光スポットもあり、何よりここまで来てよかったと思う自然が迎えてくれる。
のんびり、ゆったり、やんばるの奥で沖縄時間に包まれたいなら、朝日家へ。心と体を癒やしてくれる旅の宿です。
住所/沖縄県国頭郡国頭村楚洲150‐1
電話/0980-50-4040
料金/5,400円~(2名で1泊の1名分の料金)
*素泊まり、朝食つき、朝夕食つきプランがあります
沖縄CLIPフォトライター 小野暁子
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