器がむしょうに好き。
そんな私が沖縄に移住したての頃は、伝統のぽってりとした厚みのある器にばかり惹かれていました。けれど、少し時間がたって、よくよく見渡すと、他にも個性的な器がたくさんあることに気がついて。

「やちむん」とは、沖縄の方言で「焼きもの」のこと。つまり器でいえば、形や柄にかかわらず、沖縄で焼かれたもの全てを「やちむん」と呼ぶと知ったのも、その頃でした。
器好きが高じて、セレクトショップや作家さんのお店、やちむん市に出かけては、器を手に取り眺めていましたが、なかなか買うことができなくて。
だって、わが家の食器棚にはこれまで買いためた作家さんの器がぎっしり。この子たちの出番さえままならないのに、新たに買ったらどうなるの? そう思っては、いつも器にのばした手を引っ込めていたのです。

けれど、沖縄に住みはじめて2~3年たった頃。我慢の糸がぷちんと切れて、初めて買ったのが「陶房 土火人」の飯椀。外側がざらりとして中がつるりとしている、土っぽさを感じる器。
ていねいに包んでもらって、それを胸に、ほこほことした気持ちで帰るあの感覚を思い出してしまったら、その日のご飯がいつもよりおいしいことを思い出してしまったら…… 再び器狂いに火がついてしまいました。
そんなわけで前置きが長くなりましたが、ここからはわが家のやちむん自慢(笑)。沖縄には個性豊かな作家さんが大勢いるので、お土産選びの参考になれば、と思います。
私が「いいな」と思うのは、見た瞬間に料理を作りたくなる器。何をのせようか、あれこれ想像が広がり、両手で包むとニヤニヤしてしまう器です。

「陶房 火風水」のこの器は、まるで夜空に打ち上げた花火のよう。沖縄の海を思わせるブルーの部分が隠れるほどに、サラダを豪快に盛って、食べ進むうちに美しいブルーが見えていく。そんな風に使いたい。つまみをちょこちょこ盛って、晩酌タイムにもいいなと思ったもの。

「佐藤尚理さん」のオーバル皿には、いちごやキウイ、ぶどうなど、フルーツをどっさり盛りたい。カレーピラフもガーリックチャーハンもいいな、なんて思いつつ、ただ眺めるだけでも楽しそうと買い求めました。色合い、質感、薄さも軽さも、全て好みです。

「安里貴美枝さん」の唐草模様の器は、少し立ち上がりがあるので、カレーやパスタ、チャーハンなど、なんでも受け止めてくれる懐の深さが好き。フリーカップは、この器でコーヒーをいただいた時のときめきが忘れられなくて。スープを入れてもいいし、ゴーヤの酢のものや海ぶどうを盛ってもおいしそう。

もうこれは、見た瞬間にノックアウトだった「香月舎」の豆皿。申年にちなんでうまれた「見ざる・聞かざる・言わざる」は、薬味をちょこちょこ入れたり、小さなおやつをのせたり、しょうゆ皿としても使えます。

ここからはやちむんではありませんが、ご紹介。こちらは「木漆工とけし」の漆器。研ぎ澄まされた凛とした美しさがあって、ほれぼれしてしまう器です。黒いスクエア形は4枚あり、お客さんが来たときの取り皿にも、お正月のおせちをのせる時にも大活躍。
赤い漆器は私の汁椀。みそ汁はもちろんですが、サラダを入れたり、炊き込みご飯を盛ってみたり。品のあるたたずまいに惹かれています。

最後はガラス。まるでペンギンがちょこんと立っているようなピッチャーは、カフェでひとめぼれしたもの。どちらのものですか?とお店の方に聞いて、その足で購入した「日月」のピッチャーです。夏はハーブやレモンと一緒に、水をなみなみ注いでテーブルに。
ちょっとぽってりしていて、手にすいつくような質感が気持ちいいグラスは、セレクトショップ「miyagiya-bluespot」が「奥原硝子製造所」に頼んで作ってもらったオリジナル。サイズ感といい、フォルムといい、かなり使いやすくて好みです。
この他にもまだまだ個性的な作家さんがいるので、探してみて下さい。沖縄の風の中でうまれた、暮らしの景色を変える器たち。木の器も、ガラスもどれも素敵な作品ばかりですよ。
沖縄CLIPフォトライター 小野暁子
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